ドイツ・リート鑑賞記 ルネ・コロ「冬の旅」

先日紀尾井ホールでルネ・コロ氏のリサイタルに行ってきた。
ルネ・コロ氏といえば、ドイツを代表するヘルデンテノールの一人だが、
そんなワーグナー歌いのドイツ・リート。
運よくチケットが手に入ったのだが、とても楽しみにしていた。
しかもプログラムはシューベルトの傑作「冬の旅」
なんとタイムリー。

本番前の紀尾井ホールはコアなドイツ・リートファンと音楽関係者が集まり、
しーんと静まり返っている。
イタリア・オペラの本番前とはずいぶん違う雰囲気だ。

ルネ・コロ氏は御年77歳。
果たして24曲最後まで歌いきれるのかという心配もあってか、独特な雰囲気だった。
リートの聴衆としてはド素人の私は、あまり目立たないように静かに席についた。

客電が落ち、氏が登場。
少し心もとない足取り。
ますます大丈夫か??という気持ちに。。

しかし
曲が始まると
その心配を他所にしっかりとした歌唱。
年齢を感じさせない声。
ディクションの美しさ。
何よりも感じたのは
「自然」であるということである。
ドイツ人がドイツ・リートを歌っているのだから、当間といえばそれまでなのかもしれないが、
日本人のドイツ・リートを聴いてもぴんとこなかったものが一気に浄化されたような気持ちになった。

イタリアの音楽とここまで違うのか。声のあり方が根本から違う気がした。
どちらがいいかということではない。とにかく違うのだ。

同時に訪れる不安、自問自答。
いざ自分がドイツ・リートを歌う時
はたしてどのように歌うのか。。
この「自然」な境地にはとてもたどり着けないにしても
何かのアプローチでこの境地に近づくことができたらと、
切に願う夜であった。

ルネ・コロ氏は全24曲を見事に歌い上げた。
歌唱藝術に改めて心を打たれた。

 

 

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