戦略担当・葦田の演劇徒然 「劇場法から見えてくる世界」

engekitsureblogheader

戦略担当の葦田です。
普段イボンヌでは裏方なのですが、8月、9月と出演が続き体力ゲージが真っ赤になっております。

今日は劇場法という法律についてお話ししようと思います。これは平たく言えば劇場向け助成の予算を増額するという議論です。

この法律が出来た時、小劇場界から猛烈な反発があったというのは有名なお話。
これは同時期に文化庁が出した「劇団向け補助金の削減方針」と、劇場法による「劇場向け助成予算の拡大」がセットで認識されたことが主な理由です。

「劇場向け予算が大きくなる=劇団向けのパイが小さくなる!」これが最も人口に膾炙している解釈かと思います。

でも巨視的に見てみると、少し絵は違ってきます。
なぜなら、「劇団向け予算の縮小」と「劇場向け予算の拡大」は、全く異なる原理によって実施されている政策だからです。

日本の劇団は東京一極集中です。9割近い小劇場の劇団が、東京を活動の中心にしていると言って過言では無いでしょう。つまり劇団にお金を落とす一本槍の文化助成では、巡り巡ってお金は結局東京という日本の限られた地域のみ潤す形で使われてしまいます。

国民皆から集めた税金を原資とする以上、東京以外の地域に住む人たちにとって、非常に不公平ですね。

劇場法は、劇場や音楽堂の運営や新興に関する国と地方公共団体の役割を明確化することによって、各地方にある文化施設(ハコはあるんです、沢山)を底上げし、全国的に日本の演劇等の文化振興を行うための制度改革だったわけです。

「劇団向け予算の縮小」は、劇情報とは全く視点が違う制度です。マクロに世界を見る劇場法とは真逆のミクロな制度です。

個別団体への援助は、演劇に関わる多くの人が現状「食っていけない」状況にあることを考えれば、演劇文化を支えるために必要な制度です。

しかし、仮に援助を貰ってチケットを高くする団体が相次いだらどうなるでしょうか。「個別団体が潤うが、結局チケット代が高くなるので演劇を観る人は減り文化振興にならない。」というロジックで攻められやしないでしょうか。税金を使うということは、非常に面倒くさいことでもあるのです。個別具体的な援助は、基本的には暫定措置や新しい分野の発射台として発動されるものなのです。

劇団が食べていけない理由は沢山ありますが、地方の劇場が底上げされて安く借りられるのであれば、劇団側の経済的負担も減るわけです。やるからには東京で?でも東京の昼間人口は1500万人強。日本の人口は?1億3000万弱です。

発想を転換して、上手く制度を使うのも、劇団側に求められることなのかな、と思っています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

Facebook

Sponsor

ページ上部へ戻る