第14回公演「無伴奏~消えたチェリスト」終演のご挨拶。

終演のご挨拶

「無伴奏~消えたチェリスト」にご来場いただいたお客様、本当に有難うございました。
ゴールディンウィーク、色々と行きたい場所もあったでしょうに、私たちの舞台に足を運んで頂いて、本当に幸せでした。ありがとうございました。

今作、
「無伴奏」は僕が29~30の歳に書いた作品でして、(今から11~12年前)、当時、血気盛んと言いますか、やたらと生き急いでいましたので、カッカカッカしながら書いたのを覚えています。

たまたまベルギーに行ったときに貴子のモデルにあたる人に偶然会いまして「あ!」と思って、その後、一気に完成させた記憶があります。(その方はヴァイオリン奏者でしたが)

時代の変遷と言いますか、当時広島カープは弱かったんですね。
劇中のセリフで、「お金ないのに足使って頑張ってるから(カープが好きだ)」と主人公の圭が貴子へ向かって言うのですが、今カープは随分、強くなりました。連日球場は満員御礼のようです。12年という時の長さを教えてくれます。

今作は世界的なチェロ奏者、貴子が、長野でペンションを経営する男の下へ12年ぶりに訪れる話です。
意気揚々と世界を見ていた野心家貴子が、12年経って、突然、圭に会いに行く。

書いた本人ですら貴子の心中が分からないなと思うことがありました。
行くのかなぁ、本当に。
しかも3か月の恋で。
でも、もしかしたら
貴子はあることに気づいたんじゃないかなと。
私たちにとって大切なモノ、こと、の存在についてです。

あらゆるものは移ろいやすく、形あるものはやがて形をなくし、時間とともに風化していく中で、人は迷ったとき、記憶を頼りにすると思うのです。

貴子にとって一番、輝いていた時代、世界は自分のモノだと言わんばかりのキラキラした時代は恐らく12年前だったんでしょう。

そして、そんな時代に、一途に自分を好いてくれた男。それが圭でした。

貴子は原点を確認したかったのかもしれません。
よりシンプルな感覚を。よりシンプルな愛情を。
自分にとっての全てである、音楽とチェロを。

歳とともに人はより複雑になっていくと思います。
ならざるを得ないと言いますか、「大人」というのは大変だなと思うことが多いのですが、「無伴奏」の人物は、よりシンプルな方へ向いています。
それは作者の祈りでもあり、作者自身の課題でもあるなと思っています。

今作を、素敵に表現してくれた、座組の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。

後藤啓吾
圭という役は、ぼーっとしているから出来るという役ではなく、緻密な計算が必要な役でして、彼の良いところは、葛藤を細かく表現しながら、全体の進行も出来るところです。あと、創造性が高い。全俳優と絡む中でパスを送り、パスをもらい、かつクリエイティブに
進めていくという、まあ大変なポジションをやりきってくれました。
小屋入りしてからもどんどん変えていく、どんどん詰めていく私の特異な演出スタイルにも「楽しいっす!」とどんどん向かってきてくれました。ありがたや、ありがたや。面白い役者だと思います。
彼にとって今回の無伴奏が、役者人生の中でどういう意味を持つかはわかりませんが
ただ、主演として、すべてを背負い、やり切り、勤めあげたことに、僕は心から感謝しています。ありがとうございました。

葉月美沙子
結局、葉月さんの貴子が今回の座組だったんだと思います。
上手く言えないのですが、本人が意図していないところで、葉月さんを中心に回ったと思うのです。それは以前、「磁力」と表現したのですが、本当にそうで。それが葉月さんの魅力です。
本人の人となりとか、生きる姿勢、役へのチャレンジ精神に、座組が引き込まれ、結束し、今回の無伴奏を作り出したと思っています。
私、稽古中、3回くらい泣かせたと思います。(ファンの方、誤解しないでくださいね。本人が勝手に泣いたんです。)
本番中も一回泣かせました。(これも本人が勝手に泣いています)
泣いた後、どうなるのかと思いきや、翌日には、ムクムクと復活しているのを見て、
実は一番タフなんじゃないかと内心思ったり、思わなかったり。
貴子という人間の孤独、線が太いようで実は細いところ、貴子のもつ狂気、刹那的な感情を
きちんと表現してくれたと思います。
難役中の難役をよくぞ逃げずに演じきりました。(観劇した方、誰もがそう思ったと思います)
今回の無伴奏は、葉月さんだと思います。
葉月さんに貴子を演じてもらって良かった。ありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。
(僕ですらいまだにぼーっとしているので、もっとぼーっとした日々を過ごしていると思いますが、それで良いのです。笑)

山村真也
山村さんと僕は下の名前が一緒でして、「真也」という漢字も一緒でして、
ああ、この人も「真也」という人生を生きてるんだなあと、親近感を湧かせながら見てましたが、まあ、ピリピリする方向へ行ってしまう僕とは違って、「楽しい方向」へ持っていく方です。おかげで座組は笑顔が絶えませんでした。
僕の演出は細かいし、ああだこうだ言うので、座組はすぐ意気消沈の方向へ行きがちなのですが、山村真也のお陰で、なぜかずっと笑ってた気がします。
「辰夫」という役は二十歳なんですよね。彼は38歳。18歳下の役を「やります!」と即決し、始まってから一切文句言わず果敢に挑み、やり切ってくれました。
その人間力に、誰もが感服したんじゃないでしょうか。僕は感服していました。ずっと。
「記憶に残る俳優」そんな男です。

加藤亜美
加藤さんは、「酔いどれシューベルト」の時に、上手いなこの子と思ってましたが、改めて本当に上手かったです。優れている点は演出意図への理解の早さと体現力だと思います。
途中から「あとは役を深めて楽しんでね」とか「声をもう少し張って、落として」くらいしか言うことがなくて、すごく楽でした。あと、ひたすら前向きなんですよね。これもすごいなと思っました。
「あ、分かりました」が口癖なんじゃないかと思えるほど、ほとんど「あ、分かりました」と言ってました。笑
内心「おもろ・・・」と思って見てました。
これからどんな役者になるんでしょう。楽しみです。
ありがとうございました。
二役、大変だったと思いますが、とてもよかったです。
助かりました。

細川美央
細川さんは、個人的にはツボでして、何がツボかというと、
基本、悩みまくってるのに「大丈夫、出来るよ!」と言った瞬間、すごい笑顔になって「そうですよね」と返してくる。小屋入りしてからも不安げな顔をしているので「楽しんでねー」と言うと「はい!」とめっちゃ楽しそうに返してくる。
面白い人だなと思って見ていました。
根が明るい、前向きってすごい素敵なこと。
僕にはない性格だなと思って、いろんな意味で、良いなーと思っていました。
打ち上げで「今回、私、一人だけ誰も知り合いいなくて・・・完全に外部で・・・・・不安でした・・・・」と泣いていましたが、いやいや、その中でこんだけ愛されたってのは人間力でしょう、と思いました。
80歳になっても役者やってる気がする女優さんです。
またどこかで会いましょうね。ありがとうございました。

花岡徹
花岡さんはオーディションでも本人に伝えたのですが、発信より受けの上手な役者です。
なので今回の誠という役は彼の真逆な性格だったと思うのです。
でも彼の中では「後藤のために」「後藤を男にしよう」という思いがあったんじゃないでしょうか。
小屋入りしてから、肩こりで死んでた私の肩を揉んでくれたこと、忘れません。
めちゃくちゃ上手いんです、マッサージ。
あと美術を返却する人手が足りなくて、男性陣に募ったところ
後藤さんは真っ先に「嫌です!」と即答しましたが、花岡さんは「良いですよ」と言ってくれました。笑
また会いたい人です。
ありがとうございました。

佐々真波
佐々さんは、色々と笑わせてもらいまして、僕自身25歳くらいの時に、クソ生意気だったので、佐々さんが生意気(言い方変えると、ふてぶてしい、器がでかい、新人類)なのをとっても理解できるのですが、結果として、役を生きてくれれば良いなと思っていたので、
ある意味、すごく厳しく見ていました。
何故厳しい目線を送っていたかというと、なんか匂うからです。
何が匂うかというと、役者として大切な「行間を持っている人」だと思っていたからです。
だからこそ、演劇の怖さ、凄みを感じて欲しいなと思っていました。
美沙子さんが、貴子を作る上で、内臓をほじくり返す思いで頑張っているのを間近で見て、本人も色々と感じたと思うのです。役作りの難しさ、すさまじさを。
オーラもあるし、華もあるし、伸びしろがある人だと思います。
今後の活躍を楽しみにしています。
ありがとうございました。

米倉啓
米倉君には「モルディブ」からの2回連続でお世話になりました。
キャスティングも主演を二人紹介してもらったりと、本当に助かりました。
演技面でも、及川というほぼ白紙の人間をまあ、あんなに立体的にしてもらえてとても助かりました。
演技に関しては全幅の信頼というか、まあ、ほとんど言うことが無いというか、座組に彼がいると、とても落ち着きます。
なので相談にもたくさん乗ってもらいました。
本人「たくさん、ごちそうになりました」と言ってましたが、いや、彼はお酒を飲まないので、私が飲んだ分を私が払っただけでして、そこも含めてそんな男です。
これからも沢山お世話になると思います。
今回も本当にありがとう!

澤君 音響
澤くんのオペには歌があるなと思ってて、僕は音をすごく大事にするので、澤君がオペをしてくれるととても安心なのです。やりたい世界観が出来るなという安心感。
ドラマをきちんと理解してくれるから、とても助かります。
舞台音響としてこれからどんどん活躍していくんだろうなと思います。
これからもよろしくお願いいします。

坂上さん 制作
僕の脳をオーバーしたことを全部やって頂いた気がします。
要所要所の絞め方、ツボの押さえ方も勉強になりました。
無事に幕が上がり、幕が下りたのは坂上さんのお陰だと思います。
ありがとうございました。また小説の話をしましょう。
あと坂上さんの恋バナ、おもろすぎます。

朝田さん 照明
木星劇場のオーナーさんであり、演出家でもある方に照明をやって頂けるとは贅沢だなと思いました。しかもこちらが欲しい照明を用意するのが、早い。
さすがだなと思って見ていました。
木星劇場さん、好きです。
これからもお付き合いさせて頂きたいと思っています。
お世話になりました。

吾郷さん 美術
稽古場へ3回足を運んでくれて本番も2回観てくれて、かつ、作品の内容に関して
すごく熱く語ってくださって、この方のパワーはすごいなと思いました。
私のような小僧を相手にしてくださってホント頭が下がります。
ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

たなか鮎子さん 宣伝美術
「モルディブ」に続きフライヤ二回目、お世話になりました。
皆さんも思ったと思うのですが、すごい才能の方だと思います。
たなかさんの表現に負けない劇空間というのは一つの目標でした。
あのフライヤで芝居が出来たことが幸せでした。
これからもよろしくお願いいたします。

「無伴奏~消えたチェリスト」閉幕しました。
前作「モルディブ」の座組も大好きでしたが、今作の座組も大好きでした。
皆さんの愛によって支えられた座組だったと思います。
皆さんに感謝して、閉幕します。

劇団東京イボンヌ
福島真也

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